三崎町のテイラー

水道橋に新築された日大校舎に沿って細い道が伸びています。およそ高層のビルには似つかわしくない幅の道ですが、白山通りに背を向けてその道を歩くと、すぐに三崎町商店街通りに出ます。その角に、モルタル看板建築が残っています。前面に TAILOR NAKABAYASHI とアルファベットが貼り付けてあります。それを見れば、この建物が建った当時は、さぞお洒落に見えただろうことが想像できます。しかし、もう、お店のシャッターは閉じたままでした。が、この日は、暖かだったので、2階の窓が開け放ってあります。それだけで、お店は閉じていても、人の生活の匂いが感じられ、建物も元気に見えます。その様子を撮ろうと思い、レンズを向けました。ちょうどその時です。高齢の女性が窓辺に現れ、真っ白なカバーにくるまれた座布団をはたき始めました。すると、ファインダーのなかの下町臭がぐんと強まります。思わずシャッターを切っていました。出会い頭ってやつです。失礼だったかな?と思いましたが、後の祭り。直後に彼女は、僕に気づき、窓は閉じられてしまいました。そうかもしれません。逆の立場になれば、理由もわからずに写真を撮られるのは嫌だと思います。
特に、この建物の状況を見れば、お気持ちがもっと理解できます。石壁と無骨な鉄骨が間近に迫り、無惨とも言える姿です。どういう事情があろうとも、この環境を見ると、さぞ毎日が不安でせわしないだろうと、心が痛みます。でもね、僕には、ここに懐かしい下町の匂いがあったことを、拙い写真に残して大切にすることくらいしかできないんですね〜。

【場所】千代田区三崎町2丁目あたりです。



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