谷中M類栖 /1f

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谷中界隈では、今月15日から、谷中芸工展と称する、町をあげてのアート展が行われています。そのため、日頃からお世話になっているM類栖さんが、大阪から帰京なさり、期間中は谷中にいらっしゃるというので、かなり出遅れ気味ではありますが、展示室にもなっているご自宅をお訪ねしてきました。
展示されているのは、M類栖さんの御祖父・丸井金猊(きんげい)画伯の作品10点他です。構成としては、絹地に彩色された絵が中心ですが、展示の核となっているのは、やはり、大作屏風絵『壁畫に集ふ』です。今日の写真は、その大作のほぼ全体を撮らせていただいたものです。この屏風は、以前にも拝見したことがあるのですが、その時は、半分が閉じた状態でした。なにしろ、横3.6メートル、縦2.6メートルという大作ですから、「ちょっと開いて全体を見せて」というわけにはいきません。そんなわけで、今回はじめて、全体を拝見する機会が得られた...というわけです。この絵を前にして、まず感じるのは、その迫力もさることながら、「なんとモダンでお洒落な感覚だろう...」ということです。制作されたのが1938年(昭和13年)ということを考えると、なおさらです。
他の作品は、上記したとおり、絹地に彩色された絵で、植物や花、鳥などがモチーフになっています。こちらは、非常にきめ細やかにに描き込まれたものが多く、精緻という言葉がぴったりと当てはまる感じです。例えばこんな感じです。部分によっては、ちょっとリアル過ぎて怖いくらいです(^^; が、構図には、やはり、どこか洒落たものが感じられます。
この芸工展ですが、期間は、明後日の22日までです。ちょっとご紹介するのが遅れてしまいましたね〜。でも、もしお時間がおありでしたら、ぜひ足を運んでみてください。こんな絵を、間近で鑑賞できる機会なんて、そうはありませんから...。

【場所】台東区谷中1丁目あたりです。

コメント(10)

美しく華やかな「壁畫に集ふ」は、、もう一枚の植物の絵のような作品といっしょに見てほしいにちがいありません。彼女たちが乗って来たのだなと思ってしまいそうな美しいクルマのある壁画を背景に、女たちはとても美しいけれど、だれも笑みを浮かべずほとんど敵意に近い空気が満ちている。盧溝橋事件の翌年という時代、海の向こうで殺し合いの続いているとき、この華やかさ豊かさは、文字通り「絵に描いたもの」であるということをお描きになったのではないでしょうか。
それを際立たせる植物たちは、虫に喰われ、地表にへばりつき、やがて土に還る、個体としてははかない生命かもしれないけれど、もっと大きないのちの営みとしてみれば、実は断固とした力強い生命。この島の人間は、そうした自然という生命とひとつになって生きて来たではないか。作者は、じつはそう言いたかったのだろうと、まだ見てもいないのに勝手に受け取りました。

>masaさん
谷中に来て、いつもの生活時間が完全に反転してまして、お礼コメントが遅くなりました(^^;)
「壁畫に集ふ」に関しては、以前にお渡しした資料とはやはり色(コントラスト強すぎ)もスケール感も異なるものであり、早く全体をお見せしたいと思っておりました。ただ、前にもお話しましたように、僕にとってこの屏風絵は子供の頃からずっと寝室の角に半面出して置いてあったため、ほとんど「壁」同然だったんですよね。そういう意味で、むしろ後からその下絵の存在を知り、それを見たときの方が「おぉ!絵だ!」と思ってしまった次第です。
また、「霜晨」の部分図の方は masaさんのような切り取り方では撮ってなかったので、何だか見ていて嬉しくなりました。
写真の記録とともにこうしてご紹介までしていただき、本当にありがとうございました。僕の方は帰阪してからぼちぼち今回のことを少しずつまとめていこうと思ってるという状況ですので、本当に大助かりです。多謝!!

>玉井一匡さん
masaさんのブログをお借り致しますが、コメントありがとうございます。ちょっとこれまでまるで耳にすることのなかった解釈に新鮮な気持ちでおります。
「島」と聞くとどうしても田中一村を想起しますが、この masaさんが撮られた「霜晨」の画面下半分は田中一村にも通ずる描写だとは思っておりました。まあ、祖父の画の中では非常に珍しい描写なのですが、、この画の全体像は追々谷中M類栖の方でも紹介していくつもりです。
谷中芸工展にはこれから毎年参加していこうと考えておりますので、秋にこちら方面においでのときにはお寄りいただければ幸いです。

>玉井一匡 さん
玉井さんの解釈には、いつものことながらハッとさせられます。この屏風絵は、作者28才のときの作品とのことです。おそらく、彼は、心のなかに、様々なモヤモヤを抱えながら屏風に向かったのではないか?と想像します。それは、玉井さんがお書きになられたような明確なものではなく…です。もしも、いま、28才の作者が、この玉井さんのコメントを読んだとしたら、きっと、「そうか、自分の感じていたモヤモヤとは、こういうことだったのか…」と、溜飲が下がる思いになるのではないでしょうか…。また、「植物が土にかえる->力強い生命」のくだりには、玉井さんが、沈む夕陽にお感じになることと相通じていますね。

>m-louisさん
こんにちわ。いや〜写真掲載してよいものなら、もっと早く掲載させていただくべきでした。ちょっと残念です。しかも、もっとキッチチ写真も撮らせていただくべきでした。実は、先日は、けっこうお客さんも多かったですし、ほとんど写真を撮っていないんですよね(^^; 最終日にでも、きちんと押さえに行かせていただこうか?なんて考えてるところです。題材が素晴らしいだけに、ちょっと半端なエントリーになり、申し訳なく思ってます。

 いやービックリしました。以前、戦前(たぶん昭和10年代)発行の洋裁本を見たことがありますが、その中にあったドレスの挿絵が今回の絵画にどこか似ていました。もちろん、こちらの絵画のほうが格段にキレイですが。この絵で描かれている女性達のファッションスタイルは古典的にみえますが、この時代の夢の最新ファッションだったのかもしれません。まったく画風は違いますが小松崎茂さんという画家が昭和12年の東京銀座の風景を描いたスケッチ集が、「懐かしの銀座・浅草」という本になっています。人物像は少ないのですが、尾張町や三越前風景のなかに描かれた人のファッションがすごくモダンなんです。戦前というと戦争の影がずっと忍び寄る暗い時代かなと思っていましたが、どうもそれだけではないようです。もしかしたら、切れるの前の電球が一瞬明るく輝くように、暗闇へ向かう直前にはキラメキの時代があったのかも・・・。

>じんた堂さん
こんばんわ。またも資料関係補強コメントをありがとうございます。小松崎茂さんの画集、要チェックリストに登録いたしました(^^; ところで、この絵の絵解きには、どうやら、当時のパリコレ・カタログなどが必要なようですね。それに、実は、以前から、クルマの車種は何だろう?というのも気になっていました。
じんた堂さんがおっしゃいますように、物事というのは、とかく表裏一体で、戦争というもは、爛熟の落とした暗い暗い影…という感じがしますね。

m-louisさん ありがとうございます。お祖父様のことは、谷中M類栖で拝読した以上のことは存じ上げないまま「これまで耳にすることのなかった」ようなことを書いてしまったとは汗顔の至りです。旅行に行く時も事前にはあまり調べずに行ったほうが楽しみが大きいと思うたちなものでして、帰ってから地図や資料を引っ張りだすという具合なのです。田中一村のことは全く念頭にありませんでしたが、年譜をみると、お二人は一歳違いのようですから、美術学校時代にも面識があったはずで、掘り起こすと興味深いことがありそうですね。
もちろん、私の書いた「島」とは日本列島のつもりで、一村の住んだ南の島ではありませんでしたから、m-louisさんのご指摘で、いろいろと興味をそそられました。

>じんた堂さん
小松崎茂さんという画家は存じ上げませんでしたが、ググると公式サイトのようなものまで出てきて概要は掴めました。科学雑誌誌上で活躍され、のちの戦隊/SF系アニメに多大な影響を及ぼしておられるようですね。そんな中、じんた堂さんが紹介されてる「懐かしの銀座・浅草」は、氏の中でもまたちょっと違った画風の絵ですね。まあ、スケッチということもあるのでしょうけど、戦争に向かおうとする時代に祖父の画ともまた違って、どこかのどかなモダン東京が描けていることに驚きました。

>玉井一匡さん
「島」のことはちょっと誤読しておりました。確かに当時の列島こそ「島」と表現されるべきものですね。ちなみに私も旅行はどちらかというと予習しない派で、その分だけハプニングも多く、妻からは呆れ楽しまれてるといった有り様です(笑)
一村と祖父の接点については、一村の画集によれば病気がちで大学には3ヶ月足らずしか通ってなかったとのことですので、おそらくなかったものと思われます。そして戦中も闘病生活を送っていたようですので、そのことがかえって時代の波に呑まれずに済んだという結果を呼んだ面もあるかもしれません。
その点で祖父はある種の潔癖性から戦争画を描かなかった(描けなかった)ことが筆を折る一因にもなってたのではないか?と身内からは聞いています。まあ、本人が画業については多くを語らずでしたので、周囲の身内が美談に話をまとめていく傾向はどうしてもあると思うのですが、何分、祖父が一番手紙を書いていたという親友のところに祖父の手紙が全く残っていないというのが一番痛いです。今の時代ならば送信済みフォルダもあるんですけどね〜(笑)

>masaさん
改めまして、会期中はありがとうございました。
どうも途中から風邪をひいてしまって、未だにそれを引きづった恰好なんですが、ようやく帰阪して落ち着いて、会期中にやれなかったことをまとめている次第です。といっても会期中にやれなかった(というか、待たせていた)ものもたくさんあるので、来週あたりからそれが大いに降りかかって来そうで怖いんですが(^^;)

>m-louisさん
ご丁寧に…恐縮です。ハードなスケジュール、お疲れさまでした。お疲れが出ませんように(ってもう出てるようでもありますが(^^;)。僕の体調不良も、どうやら疲れの蓄積によるもののようです。どうぞ僕と同じ轍をお踏みになりませんように…(^^;



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