淀川・消えたシンボルフィッシュ

| コメント(8)

つい先日のこと、古い友人・よっちゃんから電話がありました。

よ「昨日の朝日新聞読んだ? イタセンパラのことが出てたでしょ...」
僕「なに...そのイタなんとかって?」
よ「前に、大阪の城北ワンドのことをブログに書いてたじゃない。あそこに棲んでた淡水魚なんだけどね」
僕「あ、ワンドの写真はアップしてるけど、あそこのことなんだ...」
よ「そうそう、まさにあの一帯のワンドのことなのよ。大阪時代に、よくあそこに釣りに行ってたのよ...」
僕「あ、そうだったよね。で、イタなんとかがどうしたのさ?」
よ「おたくは何新聞?」
僕「朝日だけど...」
よ「じゃ、昨日の夕刊の"窓"ってとこ読んでみてよ」

てなわけで、朝日夕刊(12月20日)の「"窓" 論説委員室から」という欄を読んでみました。その内容は以下のようなものでした。

『消えたシンボルフィッシュ』 - 朝日新聞・"窓" 論説委員室から
淡水魚の保護に取り組む木村英造さん(85)から著書が届いた。「淀川のシンボルフィシュ イタセンパラ」。副題に「その絶滅と再生について」とあった。
 イタセンパラは日本固有の淡水魚。全長10センチほどのタナゴの仲間で、紅紫色になるオスの体は息をのむ美しさだ。淀川水系など3カ所だけで確認され、74年に天然記念物に指定された。
 その指定に力を尽くしたのが木村さんだ。趣味の渓流釣りが高じて、大阪で書店を経営するかたわら、財団法人淡水魚保護協会をつくったのは71年のことだ。
 折しも、淀川では大規模な河川改修計画で、イタセンパラの生息する川岸の小さな湾である「わんど」が次々と埋められていた。83年には河口部に淀川大堰ができて、下流はダム湖のようになった。
 水位変動がなくなり、産卵に必要な浅瀬が激減してしまった。稚魚の調査では去年から2年連続で一匹も見つかっていない。「関係者は認めたがらないが、ついに淀川本流で絶滅した」と木村さんは嘆く。
 著書にはこの30年、希少種の保護に無関心な役人らと格闘する姿が描かれているが、ここにきて風向きがかわってきた。
 近畿地方整備局はわんどの整備に力を入れ、自然に近い水位変動を取り戻すために大堰を稼働させることを決めた。ねばり強い交渉がようやく実を結んだが、木村さんは「絶滅させた責任を明確にしないと、再び同じことが起きてしまう。絶滅を認めることが先決」となお辛口だ。(野呂雅之)

僕は、これまで、釣りをやったこともありませんし、自然保護について特に注意を払っていたわけでもありませんが、大阪の地理という側面から、ワンドには興味を感じはじめていました。また、この記事の内容が、まさに僕が見てきた城北ワンドに絡んでいましたので、より興味をかき立てられ、木村英造さんの著書『淀川のシンボルフィシュ イタセンパラ』を入手し、読んでみました。
そこには、公官庁や公的機関との折衝の空しさが書きつづられ、読んでいるだけで憤懣やるかたなし...という気分にさせられますが、同時に、例え一市民の立場であろうと、本気で粘り強く活動をつづけることの重大さを教えられます。本の内容については、新聞記事によくまとめられていますので、ここでは繰り返しませんが、木村さんは、最終章で、イタセンパラ絶滅の責任所在を、はっきりと、名指しで書いていらっしゃいます。筋金入り...とはこういう方のことを言うのでしょう。

こうなると、そのイタセンパラをぜひ見てみたい...と思うようになります。実に、ひょんなキッカケで、淀川や城北ワンドへの興味が強まったりするものですね。よっちゃん、教えてくれてありがとう...。ワンドについて教えてくれたwakkykenさんとm-louisさんもね...。

【追記】木村英造さんのホームーページ「淡水魚の窓

コメント(8)

イタセンパラ・・・初めて聞く名前でした!
日本固有の淡水魚なのですね!
複雑な思いで読ませていただきました。
ありがとうございました。

>chatnoirさん
おおっ、こんな時間にコメントをありがとうございます。って、こんな時間まで起きてる僕のほうが変なんですが(^^;
僕も、ここに書きましたとおり、イタセンパラ…を耳にするのは初めてでした。漢字では「板鮮腹」と書くそうです。板のように平たい腹が鮮明な色になる…ということのようです。
この話を耳にして、東京の河川では、もっと空恐ろしいことが起きてしまっているのでは?と、身震いする思いがしました。

このエントリーのおかげで 私の身近で起きている重大な事を改めて知りました。
このエントリーに感謝します。

>光代さん
身近なことって、意外と盲点になることがありますよね。
このエントリーは、イタセンパラもさることながら、木村さんの気骨に感じて…という感じです(^^;

イタセンパラのことは僕も知りませんでしたが、井の頭公園で違法釣りガキやってた者としては、タナゴでも充分自慢の逸品だったので、その10cm級が釣れてしまった日には相当な興奮状態に陥ってしまいそうです。って希少種釣ること想像するな!って感じですが(^^;)
ただ、最初からタナゴ狙いで釣りする人はそうそういないと思うので、やはりイタセンパラにとっては地形的変化の他にもう一つ。外来魚問題が大きいような気がします。
腰の重たい行政を動かすところまで持って行けていただけに余計に残念ですね。

>m-louisさん
エントリー最後のひと言でコメントを強要してますね(^^;すみません。しかし、ワンドひとつとっても、ほんとにいろんなドラマがあるものですね。興味深いです。
ところで、外来魚についてはご指摘の通りで、木村さんの著書にも、そのことがかなり取り上げられています。「琵琶湖を戻す会」の主催者でいらっしゃる高田昌彦さん(木村さんのお弟子さんという感じ)という方が「淀川外来魚駆除釣り大会」を開催なさった…ということからも、それは間違いのないことのようです。

masaさん、こんにちは。このイタセンパラについて、拙ブログでも、来年、エントリーしたいと思います。来年とはいっても、明後日ぐらいでしょうか(^^;;。それから、昔の職場の同僚が撮影した、美しいイタセンパラの写真のリンク、貼り付けておきます。産卵期には、美しい淡い紫になりますね。
http://www.lbm.go.jp/tenji/suizoku/topicsui2007.html

>wakkykenさん
URLをありがとうございます。透明感のある素晴らしい写真ですね。
しかし、このイタセンパラの問題は、イタセンパラが天然記念物であることから、これだけの問題になりえたのでしょうが、これも氷山の一角であろう…ということが怖いですね。wakkykenさんのエントリーでまた勉強させていただきます!



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